一方、持続可能性や利益性を見る上で必要なバックオフィス系ツールは24.0%、マーケティング系は6.7%しか使っていない! 事業の良し悪しの判断や利益創出、まだ市場にないサービスの開拓にはDX化が必須
新型コロナウイルスの影響など昨今の情勢から、経営が厳しいという中小企業も多く、その打開策として新事業を考えている経営者も多くいらっしゃいます。利益を出し、長く続けられるような良い新事業を生み出すためには、収支状況や市場動向などあらゆる観点から事業を判断する必要があります。また、たとえ良い事業でもアナログで効率の悪い進め方や原価が多く出てしまう方法では、利益が出ません。加えて、様々なサービスが市場に飽和している中、新しいサービスを生み出すためにはDX化が必要になってきます。
こういった背景から、今回は中小企業経営者の新事業に対する考えと、DX状況を調査いたしました。
【調査結果サマリー】 ①中小企業経営者が感じている自社の課題1位は「新規顧客拡大」 また、新事業を行いたい企業は6割以上という結果に 新事業を考える上で重視しているポイント上位は、「持続可能性」「利益性」 ②新事業検討に必要なバックオフィス系ツールやマーケティング系ツールはあまり利用されておらず、 WEBコミュニケーションツールやWEB会議ツールは導入が進んできたものの、未だ6割弱という結果に 良い事業かの判断や、事業の効率的な進行に不十分な状況と推察される ③社内でDXを推進できる人として「社長」が1位になるも、回答数は半数以下! そのような状況にもかかわらず、外部サービスの利用も検討していない層が約3割という結果に 新事業の創出には、DXツールやDX人材、外部サービスなど環境を整えることが必要! |
本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバル GDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。
【アンケート概要】
・調査主体:フォーバル GDXリサーチ研究所
・調査期間:2023年6月12日~7月11日
・調査対象者:全国の中小企業経営者
・調査方法:ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
・有効回答数:645人
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①中小企業経営者が感じている自社の課題1位は「新規顧客拡大」
また、新事業を行いたい企業は6割以上という結果に
新事業を考える上で重視しているポイント上位は、「持続可能性」「利益性」
Q1. あなたの会社で課題に感じていることを教えてください(複数選択可) 。
中小企業経営者に自社の課題について聞いたところ、1位に「新規顧客拡大」が挙げられ、53.6%の方が課題と感じていると回答しました。2位以降は、「物価上昇」(33.0%)、「後継者不足」(31.8%)、「資金繰り」(31.3%)と僅差で、特に「新規顧客拡大」の課題が大きいと推察されます。
Q2. 将来、新事業を行いたいと思いますか。
上記のように、「新規顧客拡大」を課題に感じている中小企業が多い中、新事業を行いたいかに関しては、「行いたいと思っており、準備を進めている」「行いたいと考えている」合わせて、63.4%と6割以上の方が新事業創出を検討されていると分かりました。「新規顧客拡大」を課題と感じている経営者が多いということもあってか、新事業創出を検討している方が多いようです。
Q3.新事業を行う上で、重要だと思う要素は何ですか(複数選択可) 。
新事業を行う上で重要だと思う要素を聞いたところ、1位が「持続可能性」(49.5%)、2位が「利益性」(43.3%)、3位が「市場の成長性」(31.6%)となりました。
本結果から新事業では持続可能で利益を出せることが重要視されていると推察されますが、判断には現状の収支状況の把握や、マーケティング分析などが必要です。これらを管理、分析するツールは揃っているのでしょうか。
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②新事業検討に必要なバックオフィス系ツールやマーケティング系ツールはあまり利用されておらず、
WEBコミュニケーションツールやWEB会議ツールは導入が進んできたものの、未だ6割弱という結果に
良い事業かの判断や、事業の効率的な進行に不十分な状況と推察される
Q4.DXを推進していくための環境として、あなたの会社で整っているものについて教えてください(複数選択可)。
DXツールの整備状況について聞いたところ、「インターネット回線」は91.6%、「社用PC」は90.7%と9割以上の企業で整っているものの、新事業内容を考える際に必要な収支状況などを把握する「バックオフィス系ツール」は24.0%、「マーケティング系ツール」は6.7%しか利用されていないという結果となりました。
また、新事業を生み出した後、効率的な運用や販管費削減に必要な「WEB会議ツール」は57.1%、 「WEBコミュニケーションツール」は52.7%と約半数、「営業系ツール」は14.3%の導入率に留まりました。大企業では当たり前に導入されているものでも、中小企業での進捗は芳しくなく、事業の運用にも影響してしまっていると推察されます。
こういったDXツールが整っていないと、検討中の新事業が良いかの判断や、利益を長く出し続ける事業の運営は難しくなってしまいます。
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③社内でDXを推進できる人として「社長」が1位になるも、回答数は半数以下!
そのような状況にもかかわらず、外部サービスの利用も検討していない層が約3割という結果に
新事業の創出には、DXツールやDX人材、外部サービスなど環境を整えることが必要!
Q5.社内でDXを推進していくことができる人はいますか。当てはまる人をお選びください(複数選択可)。
新事業を行いたい一方、DXツールもなかなか整備されていない状況といった中小企業が多いと分かりましたが、社内でDXを推進する体制はどのようになっているのでしょうか。
社内でDXを推進できる人がいるか聞いたところ、1位が「社長」となりました。しかし、その割合は48.0%と半数以下となっており、半数以上の企業は社長ですらもDXを推進できないという結果となりました。
Q6. DXを推進していくにあたり、利用を検討している外部のサービスはありますか(複数選択可)。
上記の通り、社内ではDXを推進できる人があまりいないという中小企業が多いと分かりましたが、外部サービスとの連携状況はどのようになっているのでしょうか。
DXを推進していくにあたり、利用を検討している外部サービスについて聞いたところ、「特になし」が最も多く約3割となりました。
検討している人の中では、「コンサルティングサービス」(20.2%)が最も多く、次いで「DX関連サービス」(16.3%)となりました。
今回の調査で、DXツールが十分に揃っていない、DXを推進できる人が社内にあまりいない、外部のサービスもあまり検討していないという中小企業が多いと分かりました。
良い新事業かの判断やその事業を長期的に継続させていくためにはDXツールの導入が不可欠である上、様々なサービスが市場に溢れている現代で目新しいサービスを作るためには、DX化が必要になってきます。
そのため、既存事業のDX推進を踏まえ、新規事業ではDXを念頭に置いた業務設計や体制が不可欠となります。
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【有識者のコメント】中小企業のDX推進について
フォーバルGDXリサーチ研究所所長
平良 学(たいら・まなぶ)
■経歴
1992年、株式会社フォーバルに入社。
その後営業部長を経験。2001年からは九州支店に所属し、赤字経営の立て直し、コンサル事業の立ち上げに成功。以降アライアンス事業の事業責任者を全うする。
現在は、全国のコンサル事業の全体統括や「ブルーレポート」の統括、国・行政との連携を行う事業の責任者を務める。
数々のメディア掲載実績を持ち、中小企業経営者を対象とした経営塾の講師、DXを始めとするウェビナーにも数多く登壇している。
■本調査リリースについてコメント
新たな事業に挑むということは、これまでとは異なる市場で新しい顧客を獲得し、新しい経営体制で事業を進めることとなります。その中でも、とりわけ重要な要素が市場での差別化ですが、持続的な競争力を維持するのは容易ではありません。そのため、市場の変化に素早く対応し続けなければなりません。さらに、中小企業にとっては、既存のビジネスの効率化と生産性向上を図り、新規事業へ投資するための時間とコストを生み出すことが求められます。これを可能にするためには、デジタル技術とデータを活かせるバックオフィスツールやマーケティングツールの活用をして、経営力を高めていく事が必要です。新事業展開を行いたいと考えていても、DXの推進に苦労している中小企業も多く見られます。その要因として、適切な体制や人材確保の困難さがあります。また、DX推進の方法について疑問を持つ経営者や、DX推進人材が不足している企業も少なくありません。これらの事情により、必要なツールの導入や活用が難しい状況が見受けられます。これらの困難を乗り越えるには、積極的に外部の専門家の力を活用すべきです。それにより、外部の専門家の伴走支援を得つつ自社のデジタル転換を加速させ、新事業展開での成功の一歩を踏み出しましょう。
■フォーバルGDXリサーチ研究所とは
日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
フォーバルGDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。