2022年9月3日(土) 東海大学海洋科学博物館
このイベントは、日本財団が推進する海洋ごみ対策プロジェクト「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の一環で開催するものです。
- イベント概要
・開催概要:深海や海のごみ問題について学び、楽しみながら理解を深めることを目的として開催
・日程:2022年9月3日(土)9:30~15:00
・開催場所:東海大学海洋科学博物館(静岡県静岡市清水区三保2389)
・参加人数:親子21組 44名
・協力団体:東海大学海洋科学部博物館、一般社団法人海洋連盟(うみぽす事務局)
- 駿河湾・深海魚の魅力
テレビ静岡制作番組『深海WANTED』の番組ディレクター齊藤嘉一氏を講師に迎え、駿河湾をはじめとした深海魚の魅力について、楽しくお話いただきました。番組制作時に撮影した映像も交えながら、番組ロケでのエピソードや、これまで目にしてきた深海魚についての豆知識等、様々なお話を興味深そうに聞いていました。深海の深さの定義や、スクリーンに映した深海魚の名前を尋ねたところ、たくさんの子どもたちが手を挙げて積極的に答えていて、楽しんで参加している様子が印象的でした。講演後には、番組で実際に使用をしている深海での撮影が可能なカメラを間近で見ながら、齊藤氏の説明や質問に対する答えに対して、驚きの声が上がる場面もありました。長年深海に関わっているディレクターから、普段聞くことのできないお話を直接聞く貴重な機会となりました。
- 海洋ごみ問題の現状とミズウオ解剖
東海大学海洋学部博物館学芸員の手塚覚夫氏を講師としてお招きし、いま世界中で問題視されている海洋ごみ問題を身近な例を使ってわかりやすく説明いただきました。世界的な人口増加により、食べ物や水、エネルギーなどの問題発生が予想されており、中でも一番の問題はごみ問題だと言われています。海岸には、自然由来の漂着物だけではなく、私たちの生活から出たごみがたくさん落ちています。講演の後は、海岸に出て、実際にどんな漂着物があるか全員で調査をしました。流木や、近年増えている海底の火山活動による軽石等もありましたが、プラスチックの破片や発泡スチロール、さらにはタイヤまで、人間が作り出したごみが多く落ちていました。教室に戻ってからは、目の前に流れてきたものを何でも丸のみにしてしまう深海魚「ミズウオ」を解剖し、胃の中の内容物を調べました。体内からは、タチウオの幼魚やイカのほか、ビニール袋が出てきました。手塚先生によると、近年解剖するほとんどのミズウオから海洋ごみが出てきていて、ごみが海の生き物たちに悪影響を与えていることが分かります。
東海大学海洋学部では、1964年から海洋汚染の現状などを調べるためにミズウオの解剖を行っています。手塚氏によると、1964年から1983年までに解剖したミズウオのうち胃の中にごみなどが残っていたのは62.2%でしたが、2001年から2019年の間に解剖したミズウオは71.9%の確率でごみを餌だと思い誤って食べてしまっているということが研究から判明しており、残念なことに海に流れ出るごみが年々増え続けているといえます。
海の底に沈んでしまったごみを、すべて拾い集めることは簡単なことではありません。しかし、これ以上海にごみを出さないために1人ひとりの行動を変えていくことが大切です。きれいな海を未来に引き継ぐために、そして大切な海の恵みを守っていくために、自分たちの生活を振り返って考える良い機会となりました。
- 海を表現するポストカードづくり
プログラムの締めくくりとして、イベントで学んだことや海について表現する、オリジナルのポストカード制作に挑戦しました。一般社団法人海洋連盟(うみぽす事務局)の後、藤学氏を講師にお招きしポストカード・ポスター制作の際のポイントや、カードの構成を考えるためのアドバイス等をご説明いただき、参加者はお話を真剣に聞いていました。中には、深海図鑑や、魚のフィギュアを持参した参加者もいて、何をどのように描くかじっくり考えながら、1時間ほどで全員がオリジナルの作品を描き上げました。イベントで実際に見たミズウオや、メンダコ、ラブカ等の深海魚のほか、駿河湾の海の風景や東海大学海洋学部博物館に展示されている魚など、思い思いの絵を描き表現することができました。イベントで完成した全員の作品を、「うみぽす」コンテストに応募しました。
- 深海魚博士任命状授与
イベントの最後には、深海魚や海についての理解を深め、学んだ証として「深海魚博士」の任命状を子どもたち全員に授与しました。しずおか海用ごみゼロPR大使のちびまる子ちゃんより任命状が授与され、笑顔でイベントを無事に終えることができました。これからも、今回の学びを忘れずに、深海魚の魅力や海の環境について多くの人に伝えていってほしいと伝え、締めくくりとなりました。
- 参加した子ども・保護者からの声
・ミズウオの胃袋にはたくさんの生き物やごみが入っていておどろいた。(11歳男児)
・海にはごみがたくさんあることを改めて感じた。(11歳男児)
・海に落ちているごみが多かったし、大きなタイヤがあったことにおどろきました。ミズウオのお腹からプラスチックが出てきてかわいそうだと思いました。ごみが減るようにできる限りの努力をしたいです。(11歳女児)
・ミズウオのお腹からビニールが出てくる実際の様子をみたら、海にごみがある現状がよくわかった。生態系を壊してしまうということを子どもたちと共有し、海の大切さを理解してほしい。(40代男性)
・深海の底にビニール袋が大量に漂っている様にただただおどろいた。(50代男性)
<団体概要>
団体名称:しずおか海洋ごみゼロ対策プロジェクト実行委員会
URL:https://shizuoka.uminohi.jp/
活動内容:しずおか海洋ごみゼロ対策プロジェクト実行委員会は日本財団が推進する海洋ごみ対策事業「海と日本プロジェクト・ CHANGE FOR THE BLUE」の一環として、市民の皆さんに清掃活動やワークショップ等を通じ、深刻化する海洋ごみの問題、そして海の大切さや尊さを啓発していきます。
CHANGE FOR THE BLUE
国民一人ひとりが海洋ごみの問題を自分ごと化し、”これ以上、海にごみを出さない”という社会全体の意識を向上させていくことを目標に、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として2018年11月から推進しているプロジェクトです。
産官学民からなるステークホルダーと連携して海洋ごみの削減モデルを作り、国内外に発信していきます。
https://uminohi.jp/umigomi/
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/