「テクノロジーが発展しすぎた未来社会で起きる犯罪を解決するデザインとは?」をテーマに今夏国内外で募集
テーマである「テクノロジーが発展しすぎた未来社会、そこで起きる犯罪を解決するデザインとは?」を踏まえて、いずれの応募作品も、近い将来顕在化するであろう問題を考え抜き、それを巧みに解決するコンセプトを、具体的に形に落とし込んだものとなっており、初回にもかかわらず非常にレベルの高いものとなりました。
それらの作品群を4名の審査員が厳正に評価した結果、Gold Awardには、インドネシアのLa Myra Bening氏の「PORTA」が、Silver AwardにはインドのArnav Nigam氏の「Glass – A Future Interface」、および、同じくインドのVinay Sudhakaran氏、Mohd. Saim Nasim Lari氏、Arun Thangaraj氏の3名で構成されるQGene Solutionsの「QGene」が選ばれました。
Gold Award
PORTA by La Myra Bening氏(インドネシア)
受賞理由:「スマートホーム全体の安全を守るプロダクト」というコンセプトや具体的な機能もさることながら、
プロダクトとしてのデザイン性にも長けており、コンセプトの価値を的確に伝える秀逸なプレゼンテーションも
高評価を獲得する重要な要素となりました。
作品コンセプト:スマートホームによって提供される快適さは、我々の危険に対する直感を鈍らせ、周囲の状況や環境の異常に気づかなくさせる危険性がある。ラテン語で「門」を意味する「PORTA」は、スマートホームにおける”デジタルゲート”。スマートホームの活動の異常を検知すると自動的にWi-Fi接続を終了しバックアップデータを使ってデバイスを動作させる。音声ベースのパスワードを利用することで安全性を高めている。
You Tube :https://youtu.be/laZcYpsY8NM
Silver Award
Glass – A Future Interface by Arnav Nigam氏(インド)
作品コンセプト:世界が複雑化する中で、私たちの相互作用やその影響を管理・制御することは困難になっている。Glassは、制御メカニズムとして機能すると同時に、シームレスなデジタル体験を提供するもの。ブレイン・マシン・インターフェースとAIの進歩により、私たちはパラレル(デジタル)ユニバースをコントロールできるようになるかもしれない。
You Tube:https://youtu.be/nE_dryVtZKk
Silver Award
QGene by QGene Solutions (Vinay Sudhakaran氏, Mohd. Saim Nasim Lari氏, Arun Thangaraj氏) (インド)
作品コンセプト:QGeneは、将来のデジタル上のなりすましを防ぐための、DNAをベースにしたポリモーフィック・タトゥー。現在の認証技術に取って代わるもので、皮膚に貼ると、DNAと主要な行動特性が抽出され、ゲノム配列に基づいて、独自の「デジタル遺伝子」となるデジタルマトリックスを生成するもの。
You Tube:https://youtu.be/tHdMiJEfbEM
審査員のコメント
Bjoern Eichstaedt氏, Managing Partner and Co-Owner of Storymaker GmbH
審査員として、このコンテストに参加し、受賞者のみなさんの作品には非常に感銘を受けました。与えられたテーマに対して興味深いアプローチを見つけ、隠れた部分を表に出していました。作品の中には、細部までしっかりと作り込み、なおかつ明快に課題解決の方法がわかるものもありました。受賞者のみなさんは、文脈やテーマの理解から、創造性、細部へのこだわりまで、見事に実現させていることが見受けられました。
西村 真里子 氏, 株式会社HEART CATCH, 代表取締役 / プロデューサー
化粧品を使いデータ保護を考える、自分のDNAから抽出したデジタルタトゥーを活用する・・・バイタルデータ、バンクアカウントデータなど、センシティブな情報がデジタル化され流通する時代のセキュリティのあり方を、斬新な切り口で考えるソリューションが多く、驚きと喜びに溢れる審査ができました。新たな価値を生み出すクリエイター達のアイデアを生み出すまでの思考プロセスも垣間見ることができ、審査をしながらも学びが多かったです。
Casey Lau 氏, Co-host of RISE and Web Summit Tokyo
今回の「テクノロジーが発達した未来の社会で犯罪を解決する」というテーマに即した作品に魅了されました。どの作品もよく考えられており、コンセプトもユニークで、興味深いデザインに落とし込まれている印象でした。また、プレゼンテーションが優れている作品もありました。特に最終選考に残った作品はどれも素晴らしく、受賞作品を選ぶのに苦労しました。このコンペに参加させていただき嬉しく思います。受賞者の皆さん、おめでとうございます。
Brandon K. Hill氏, Founder and CEO of btrax, Inc.
このような世界規模のデザインコンペティションを開催でき、大変光栄に思います。非常に多くのご応募をいただき、そして、社会が直面する未来の問題を解決するサービスのアイデアの質の高さに感銘を受けました。社会の課題を解決するためにデザインすることは、私の情熱でもあります。その意味で、このデザインコンペを実施できたことに興奮しています。ご興味をお持ちいただき、ご応募いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
主催者のコメント
パナソニックi-PROセンシングソリューションズ株式会社 代表取締役社長兼COO 尾崎 祥平氏
私どもi-PROは『一瞬の真実を捉える』をコーポレートアイデンティティに据えて先進技術を開発し提供しています。社会やユーザーの共感をどれだけ得られるかという感性の部分が大事であると考え、このi-PRO Future Design Challengeを推進しています。
今回は初めてにもかかわらず、国内はもちろんの事、海外の多くの方に注目いただき、多数の応募をいただいたのは驚きとともに喜びでもあり、またそのクオリティは目を見張るものがありました。今回選出された3件が突出していたのはもちろんですが、応募全体のレベルが非常に高かったことには感銘を受けており、私たちi-PROにも大いなる気づきを与えてくれています。応募いただいた方々はもちろん、この取り組みに関心を寄せていただいた皆様、また一緒に取り組んでいただいたbtrax様に改めて御礼申し上げます。
「i-PRO Future Design Challenge」の概要
目的 | 便利であるはずのテクノロジーは、犯罪にも使われる可能性を持つ“諸刃の剣”とも言えるのではないか? 本コンペは、デザインを通じて未来に発生しうる課題の解決にチャレンジしていくもの。 |
テーマ | テクノロジーが発展しすぎた未来社会の犯罪を解決する |
応募期間 | 2021年7月8日(木)〜8月31日(火) 11月18日(木)受賞者発表 |
応募資格 | デザイナーを中心に学生から社会人,企業にお勤めの方まで国内外全ての方 |
i-PROについて
パナソニックi-PROセンシングソリューションズ株式会社は、セキュリティ監視、パブリックセーフティ、そして医療用イメージングの各分野に欠かせないセンシングソリューションの世界的なリーディングカンパニーです。パナソニックにおける60年以上にわたる数々のセンシング技術とイノベーションを継承し、2019年に設立されました。
私たちは、一瞬も見逃さない高度なセンシング技術とあらゆる環境に対応する信頼性の高いソリューションで、人々の命を守り救うプロフェッショナルをサポートし、より安心安全な社会の実現に貢献します。
(2022年4月より社名が 「i-PRO株式会社」 に変わります)
https://i-pro.com/corp/jp/
btraxについて
東京とアメリカ・サンフランシスコに拠点を持つグローバルなデザイン会社です。国内外300以上の企業とのプロジェクト実績を持ち、UXデザインを軸に、サービス開発やデザイン教育、リサーチなど、幅広くサービスを提供しています。
https://btrax.com/jp/