本参考資料は2021年9月22日(現地時間)に中国深センで発表されたプレスリリースの翻訳版です。
この3年間、ファーウェイでは1000を超える学会、顧客、業界パートナーと密接な交流の機会を持ち、2000以上のワークショップを企画して、国連、世界経済フォーラム、世界保健機関などの権威ある組織のデータおよびメソッドを活用してきました。また、ネイチャーやIEEEなどの科学雑誌から知見を深め、関連の産業団体およびコンサルティング企業、そしてファーウェイ社内外の専門家からの見識を参考にしてきました。こうした取り組みを通じて、インテリジェントワールド2030レポートを作成し、今後10年のICT技術とアプリケーションの動向についての洞察を提供しています。
今回のレポートでは、マクロレベルで8つの学際的、および領域横断的な方向性を提示しています。人類の発展における重要な問題、および課題をICT技術がいかに解決できるか、そしてICT技術が組織や個人にどのような新たな機会をもたらすかについて説明しています。産業レベルにおいて、当レポートでは通信ネットワーク、コンピューティング、デジタルパワー、インテリジェント自動車の各種ソリューションについて、今後のテクノロジーと発展の方向性を探求しています。
汪は次のように述べました。「当社は30年前、通信により生活を豊かにすることを決意しました。10年前、当社は世界の隅々を接続し、より良い、つながりのある世界を構築することを決意しました。現在の当社のビジョンおよび使命は、あらゆる人、家庭、組織にデジタル化の価値を提供し、すべてがつながったインテリジェントな世界を実現することです。輝かしいインテリジェントな世界が、勢いを増して近づいてきていることを確信しています。」
フォーラムのスピーチには多数の重要ゲストが招待されました。名高い未来学者のスティーブン・ジョンソン氏、世界電気自動車協会の創設者 兼 輪番会長の陳清泉(チェン・チンチュエン)氏、ローランド・ベルガー グローバル管理委員会 共同プレジデントのデニス・デュプー氏、そして中国情報通信研究院 副院長の王志勤(ワン・シーチン)氏らが、インテリジェントな世界についての各自の知見を共有し、ICTが社会経済の発展をいかにより良い方向に推進するかについて、意見を交わしました。
著名な未来学者で科学作家のスティーブン・ジョンソン氏の言葉通り、われわれは飛躍的な成長の時代に突入しています。これからの10年は、人間と人工知能が連携する黄金時代となり、アルゴリズムが人間の知能を強化させるでしょう。テクノロジーが飛躍的な進歩を遂げることで、社会全体が恩恵を受けられます。
インテリジェントワールド2030フォーラムは、ファーウェイがこれからの10年についての最先端の研究と知見を体系的に共有した初めての試みです。このような知識の共有は、とりわけ世界的なデジタル変革とデジタル経済における社会的発展に大きな価値をもたらすでしょう。
想像力が今後、我々が何処まで到達できるかを決定し、行動力が、我々がその未来にどれだけ速く到達できるかを決定付けます。そして未来を予測する最善の方法は、未来を創造することです。インテリジェントな世界への道程には、依然、克服すべき課題が多く存在します。汪涛は、次のように述べて講演を締めくくっています。「最も偉大な英知は共有された考えの中に見いだすことが出来ます。夢は社会発展のための重要な推進力となります。これからの10年、より良い、インテリジェントな世界を形成するために共に取り組んでゆきましょう。」
レポートの概要:
2030年のインテリジェントな世界の展望:2030年には、より多くの食料、より広い居住空間、再生可能エネルギー、デジタルサービスを享受して、交通渋滞のない、より良い生活を享受しているでしょう。反復的で危険な作業は機械に任せ、デジタルサービスに安全にアクセスできるようになります。これらのニーズに対応するため、当社では健康、食物、生活、輸送を含む8つの調査の方向性を設定しました。
2030年には、公衆衛生データおよび医療データを算出してモデル化することで、潜在的な健康問題を特定できるようになり、病気は治療から予防へとシフトするでしょう。IoTとAIを活用した精密医療ソリューションが実現します。
2030年には、気候の影響を受けない垂直農法が大規模導入され、すべての人にグリーンフードを提供できるようになります。3Dプリントで、我々の栄養の必要性を満たす人工肉を作成することが出来るようになります。
我々の住居およびオフィスの建物はゼロカーボンを実現します。次世代のIoTテクノロジーは、我々のニーズを理解できる適応型のホーム環境を構築します。
新エネルギー車両が、モバイルの「第3の空間」となります。新しい航空機は、緊急サービスをより効率的にし、医療用品のコストを削減し、我々の通勤手段を変容します。
ファーウェイは、ヘルスケア、食物、居住空間、輸送に加え、都市、エネルギー、企業、デジタルトラストの未来も探求しています。2030年の無限の可能性を探求するために、共に取り組んでゆけることを期待します。
2030年の通信ネットワーク:今後10年で、ネットワーク接続の対象と境界は拡大を続けます。2030年までに、XR、肉眼3Dディスプレイ、デジタルタッチ、デジタルスメルなどのテクノロジーがより発展するに伴い、「デジタルビジョン、デジタルタッチ、デジタルスメル」は、次世代型のネットワークにより、没入型で破壊的な体験を生み出すでしょう。同時に、ネットワークが数十億人の接続から数千億のモノの接続へと進化するに伴い、ネットワーク設計は人的認知から機械認知にシフトします。何千億ものモノと、膨大なデータに対応するマルチレベルコンピューティングインフラと、その接続を提供するコンピューティングパワーネットワークの到来を体験します。4つの未来型ネットワークである家庭・オフィス・車両向けネットワーク、衛星ブロードバンドインターネット、産業インターネット、およびコンピューティングパワーネットワークに一貫したエクスペリエンスを提供することが徐々に実現してゆきます。
インテリジェントな世界の一環として、2030年の通信ネットワークは、3次元ブロードバンドネットワーク、決定論的経験、AIネイティブ、HCS、セキュリティと信用性、そしてグリーンで低炭素なネットワークに向けて進化します。ファーウェイは、2030年までにグローバル接続の総数が2,000億に達すると予測します。同時に、企業向けネットワークアクセス、ホームブロードバンドアクセス、および個別のワイヤレスアクセスが10 Gbit/秒を超える接続時代を迎えます。
2030年のコンピューティング:2030年までに、デジタル世界と物理世界はシームレスに統合し、人間と機械の知覚的、および感情的な相互作用を実現します。AIはユビキタスとなり、我々が人間の限界を超越するためのサポートを行います。AIは科学者にとっての顕微鏡、あるいは望遠鏡の役割を果たし、最小のクォークから超大な宇宙現象に至るまで、あらゆる物事に対する我々の理解を深めます。すでにデジタル技術を幅広く活用する業界では、AIにより、さらなるインテリジェント化が推進されます。コンピューティングのエネルギー効率は飛躍的に向上し、ゼロカーボンコンピューティングへと近づきます。デジタル技術は、カーボンニュートラルという世界的目標を達成するためのツールの役割を果たします。
コンピューティングは物理的な限界に近づいているため、ソフトウェア、アーキテクチャ、およびシステムの革新が求められます。さらに重要なことに、業界全体が協力してコンピューティングの新しい基盤を模索し、半導体の物質的限界を打破して、コンピューティングをより環境に優しく、より安全で、よりインテリジェントなものにしてゆくことが求められます。ファーウェイは、2030年までに、人類はヨタバイトのデータ時代に突入し、汎用コンピューティング能力は10倍、AIコンピューティング能力は500倍になると予測します。
2030年のデジタルエネルギー:今後10年で、人類はデジタルエネルギーの時代に突入し、低炭素開発、電化、インテリジェントな変革に向けて取り組むでしょう。太陽光発電や風力発電などの新しい再生可能エネルギー源が、徐々に化石燃料に取って代わります。電力工学技術とデジタル技術は深く統合されつつあり、エネルギーシステム全体で「ビットがワットを管理する」ことを実現し、「エネルギークラウド」上でさまざまなインテリジェントアプリケーションを実現します。ファーウェイは、2030年までに、太陽エネルギーが主要エネルギー源の1つとなり、再生可能エネルギーが世界の発電の50%、最終エネルギー消費に占める電力の割合は30%超、新車販売台数の電気自動車の割合は50%超、そして再生可能エネルギーがデジタルインフラの80%に電力を供給すると予測します。
2030年のインテリジェント自動車ソリューション: これからの10年は、電化とインテリジェント化が留まることなく、ICT技術は自動車産業と融合してゆくでしょう。自動車産業は、インテリジェントドライビング、インテリジェント空間、インテリジェントサービス、インテリジェント運用の発展を目の当たりにします。ファーウェイは、自社のICTテクノロジーでインテリジェントな自動車産業を実現し、自動車メーカーがより優れた自動車を製造できるよう支援することを希望します。
インテリジェント運転の究極の目標は、自動運転などのテクノロジーを使用して、交通事故の発生率を大幅に低減し、ユーザーに効率的でシームレスな移動体験を提供することです。これまでのインテリジェント運転は、主に高速道路やキャンパス道路などの閉鎖道路に限定されていましたが、これからは徐々に都市部などの公道への応用が進んでゆきます。乗り物は新しいインテリジェント空間となります。ICTのサポートにより、AI、生体認証、車載光学センサー、AR/VRなどのテクノロジーがコックピットに新しい機能をもたらします。インテリジェント車両は、まさに柔軟なモバイル空間から、仮想世界と物理世界を統合するインテリジェントな生活空間へと変容します。ファーウェイは、2030年までに自律走行車が中国の新車の販売の20%、電気自動車が新車の販売の50%以上を占め、車両には5,000 TOPSを超えるコンピューティングパワーが搭載され、リンクあたりの車載ネットワークの伝送速度は100Gbpsを超えると予測します。
詳細はhttps://www.huawei.com/en/givをご確認ください。
(英語サイトです)