凸版印刷/凸版印刷とブロードバンドタワーとテクノハウス、高精細4K映像の長距離光IP伝送による高品質伝送と表示実験に成功

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伝送実験の様子

高ビットレートの高品質高精細4K映像を光ファイバー/IPにより、画質劣化がないビジュアリーロスレス品質で、長距離伝送する実証実験に成功

 凸版印刷株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:麿 秀晴、以下 凸版印刷)と、株式会社ブロードバンドタワー(本社:東京都千代田区、代表取締役会長兼社長CEO:藤原 洋、以下 ブロードバンドタワー)及び、株式会社テクノハウス(本社:東京都港区、代表取締役社長:榎本 隆二、以下 テクノハウス)は、凸版印刷が進める高精細画像活用における要素技術確立の一環として、光ファイバー/IPによる高品質高精細映像の伝送実験を共同で実施。約3㎞超の長距離区間を経ても品質劣化が知覚できないレベル(ビジュアリーロスレス)で、高品質/高精細映像の伝送/表示に成功しました。
 なお、本実証実験は「救急AI推薦研究」(※1)の一環として「第49回日本救急医学会総会・学術集会」(2021年11月21日~23日開催)において、成果を発表予定です。

伝送実験の様子伝送実験の様子

 凸版印刷は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う遠隔医療のデジタル視覚情報の伝送品質向上に取り組んでいます。また、おうち時間が増えている状況に対し、快適な生活環境の実現に向けて日本初の4K「スローテレビ」(※2)の番組として「ナチュラルウィンドウチャンネル」(※3)を2021年4月より試験放送しています。今回、本番組の素材として用いられている、凸版印刷制作の超臨場感環境ソリューション「Natural Window®」(※4)や、凸版印刷オリジナルの高品質/高精細映像コンテンツ「Meet Japan!®」などの4K高ビットレート高精細映像を、特殊な機材や設備を使用しないシステム構成で長距離伝送する実証実験を実施。画質劣化のないビジュアリーロスレス品質で伝送することに成功しました。

伝送実験を行った「TOPPAN DIGITAL SANDBOXⓇ HONJO」伝送実験を行った「TOPPAN DIGITAL SANDBOXⓇ HONJO」

伝送先での流量の計測結果伝送先での流量の計測結果

 ■  実証実験の実施背景
 総務省が毎年発表を行っている「情報通信白書」の令和3年版によると、インターネットへの接続方法は光回線が全体の54.1%と他の接続方法に比べ圧倒的な割合を占めています。また、日常感じることのない接続インフラにおいてもFTTH(※5)が普及しています。また、固定系ブロードバンドサービス等の契約数推移によると、国内ではおよそ3,500万件がFTTHに移行し、CATV以外では従来の接続方法からシフトしていることが確認されています。さらに光ファイバーの整備率は、令和2年3月末時点の推計で、全国平均99.1%となっており、世界的にも日本全体のFTTHは上位にランクインしているとされています。(※6)
 一方で国内の累計出荷台数が1,000万台を超えた(※7)4K対応テレビの普及を受け、4Kコンテンツの新たな活用ニーズも高まることが期待されています。しかし現時点では4Kなどの高精細映像は、データ容量が大きくなり電波等で伝送するため、データを圧縮する方向性がとられています。この圧縮方法によっては高精細映像の特徴である臨場感や精緻さが不足してしまうケースがあり、高精細映像活用の課題になっています。
 高精細映像の活用例として、凸版印刷が30年以上前から培ってきたDTPに起源を持つ印刷テクノロジーを応用した、超臨場感環境ソリューション「Natural Window®」は、単に休息する場合と比べてストレスを軽減させる効果があることが確認されています。現在、広く提供されている4K衛星放送等のビットレート(※8)は約10~20Mbpsが多いのに対し、「Natural Window®」や「Meet Japan!®」などの凸版印刷オリジナル高品質/高精細4K映像コンテンツは、約10倍となる200Mbpsの高ビットレートでの制作を標準とし、非線形的特性(※9)によって高精細映像ならではの品質を実現しています。
 これまでは、高ビットレートの高品質/高精細4K映像を伝送するには、特殊な機材や実験環境を必要とし、かかる費用も高額となっていました。本検証ではネットワークの広帯域化により、特殊な機材を使用せずに伝送実験を実施。具体的には、HDMIケーブル1系統の出力からダイレクトに光ファイバー/IPへ変換し10Gbpsの光ファイバーを通じて伝送。受信側でHDMIに出力する、SDVoE(Software Defined Video-over-Ethernet)(※10)アライアンスが提唱する「ビジュアリーロスレス」品質での伝送と表示を行いました。

システム構成イメージ図システム構成イメージ図

 なお今回の実証は、凸版印刷がローカル5G基地局や高速通信などを扱う実験施設として開設した「TOPPAN DIGITAL SANDBOXⓇ HONJO(東京都 墨田区)」と、ブロードバンドタワーのデータセンター「第1サイト」(東京都 千代田区)間(約3㎞)超の長距離区間にて実施しました。
 今回の取り組みは、FTTHを活用した高ビットレートの高品質/高精細4K映像(ピュア4K)の普及の可能性を示すもので、広く社会実装させる方法として期待される結果になりました。

■ 各社の役割
・凸版印刷

 高品質/高精細映像を活用したサービスの実用化に向けた映像伝送システムの映像品質評価/実証の場の提供
・ブロードバンドタワー
 大容量データ伝送技術開発、広域ネットワークにおける高速通信環境整備及び最適な設定/実証の場の提供
・テクノハウス
 高品質/高精細映像伝送における技術的ノウハウ提供/実証機材の提供

■ 今後の目標
 今回の実験は進むフォトニクス(※11)や、各種の光を用いたデータ処理や伝送などと、FTTH等の新しい社会基盤を見据えた世界でも類を見ない先進的な取り組みとなっており、今後更なる距離の延伸や、超低遅延性、インタラクティブ制御などの開発を進めて参ります。また、DX-E(※12)で必須となる「正しい情報の正しい伝達」については、これまで高品質/高精細映像を伝送する際にデータ圧縮処理によって引き起こされる品質劣化リスクから活用に制約がありましたが、本実証実験の結果を受け「データ容量が課題とならない時代」の実現に向けて、高品質/高精細映像をはじめとするデジタル視覚データの活用を進めていきます。
 凸版印刷では正しい情報の活用によってコミュニケーションの深度や精度の向上を裏付けする、データ真正性(※13)について、専門企業や大学、病院などの機関との共同研究(※14)を進めており、この研究成果と今回の取り組みの社会実装を3社共同で進めることで、医療/防災/自動制御/製造/グローバル言語レスコミュニケーションなど多くの場面において、正しい情報を正しく伝えるSociety 5.0時代にふさわしい社会基盤となることを目指します。
 

※1:一般社団法人日本救急医学会の救急AI推薦研究

名称 救急AI研究活性化特別委員会 日本救急医学会推薦AI研究
組織 救急AI研究活性化特別委員会 委員長 齋藤 大蔵(防衛医科大学校防衛医学研究センター外傷研究部門 教授)
採択 第48回 日本救急医学会総会・学術集会
会長:小倉 真治(岐阜大学大学院医学系研究科 救急・災害医学 教授)2020(令和2)年11月18日(水)~20日(金) 会場:長良川国際会議場 等
研究課題名 AI活用に向けた、画像・映像デジタルデータ品質について

研究発表(予定) 第49回日本救急医学会総会・学術集会、会長:大友 康裕(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 救急災害医学分野)、会期:2021(令和3)年11月21日(日)~23日(火)、会場:ベルサール東京日本橋、ベルサール八重洲、コングレスクエア日本橋 他 オンライン

※2:スローテレビ
アメリカ、イギリスなどで始まった、焚火やカメラワークのほとんどない風景や情景映像をひたすら上映する内容の映像コンテンツ。特に北欧ノルウェーでは人気があるとされている。

※3: ナチュラルウィンドウチャンネル
現在、凸版印刷とブロードバンドタワーとブロードバンドタワーの連結子会社であるジャパンケーブルキャスト株式会社による、日本初となる4Kスローテレビチャンネルを全国CATV局へ試験放送が行われている。

※4:「Natural Window®」
凸版印刷が2017年3月より提供している高品質/高精細4K映像コンテンツを活用した超臨場感環境ソリューションです。心拍変動解析などによる効果検証の結果、ただ休息する場合に比べストレスを軽減させる効果があることが確認されている。
参照①: https://www.toppan.co.jp/solution/service/pmb/naturalwindow.html
参照②: https://www.toppan.co.jp/news/2017/03/newsrelease170301.html

※5: FTTH
Fiber To The Homeの略称。光ファイバーを伝送路として個宅やオフィスへ直接引き込む光通信網構成方式

※6:令和3年 総務省 情報通信白書
出典引用部分  PDF版 本編【全体】 P.11、14、52、359
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/01honpen.pdf

※7: 4K対応テレビ国内累計出荷台数1,000万台を突破
JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)発表 2020年8月民生用電子機器国内出荷実績(速報値)から累計。

※8:ビットレート
bit rate 電気通信やコンピューティングにおいて、単位時間あたりに転送または処理されるビット数を表し、大きな数値ほど大量のデータ伝送を意味する。通常秒毎の単位を指す。
例100Mbps(Mega bit per second)とは、1秒間毎に100メガビットのデータ伝送という意味となる。

※9:非線形的特性
入力と出力が比例の関係にならない現象に特有の性質。全体として現れる効果が、原因となる因子の効果の和にならないことをいう。

※10:SDVoE(Software Defined Video-over-Ethernet)アライアンス
SDVoE(Software Defined Video-over-Ethernet)アライアンスは、イーサーネットを利用したAV信号伝送の標準化を目的として、ハードウェアおよびソフトウェアプラットフォーム企業により、SDVoE技術を利用したエコシステム構築のための非営利のコンソーシアム

※11:フォトニクス
フォトニクス(光工学)とは、「光子(photon)」等を用いた光によるデータ処理や伝送に関する光学活用技術。荷電粒子である電子が電流を構成するエレクトロニクス(電子工学)よりも、光の特性を生かした主に高速性を活用する用途への開発が急ピッチで進んでいる。

 ※12:DX-E™
凸版印刷は DX に必要不可欠な各種要素・パラメーター・プロトコル等を DX- E™(Elements)と規定し、正しい色の再現や質感表現などのデジタル視覚データの品質を管理する基盤構築に取り組んでいる。

※13:データ真正性
エンターテイメントや各種映像作品は制作者による演出を含む様々な加工や映像・画像処理がなされているのが一般的だが、凸版印刷では印刷テクノロジーの中核的な理念でもある「正しい情報を正しく伝える」ポリシーから、画像・映像などのデジタル視覚データの正しさについても追求を行っており、この知見を活かした遠隔診療などへ技術応用開発も実施しています。「ナチュラルウィンドウチャンネル」においても演出を極力抑え、まるでそこにいるかのような臨場感のある環境空間の再現性を目指して制作を行っている。
参考:CEATEC2020 https://www.toppan.co.jp/news/2020/10/newsrelease_201014_2.html

※14:凸版印刷と順天堂大学、共同研究講座を開設 2021年5月31日
「救急AI色画像情報標準化講座」を開設し医学領域における画像データの真正性に関する共同研究を開始
参考:https://www.toppan.co.jp/news/2021/05/nsrelease210531_1.html

以 上

 

 

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