変形性膝関節症向けリハビリAIシステムの研究開発に、生成AIと歩行センシングの技術で貢献
本研究では、変形性膝関節症(以下、膝OA)の患者に対し個別化された歩行運動プログラムを提供する、リハビリテーションAIシステム(以下、リハビリAIシステム)の開発を目指します。
本研究には、東京医科歯科大学(藤田浩二 教授)、京都大学(青山朋樹 教授)、NEC(中野裕明 ディレクター)の3者で取組み、研究から製品開発・事業化までを一気通貫で進めていきます。
NECは、高精度なAI構築のために学習データを拡張する生成AI技術「Cross-Domain Motion GAN=クロスドメイン学習を用いた動作生成技術」と、日常の歩行状態を簡便に計測できる製品「歩行センシングインソール」等の技術・製品により、本研究に貢献します。
膝OA向けリハビリAIシステムのイメージ
基本情報
■ 事業名
令和5年度 「医療機器等研究成果展開事業(開発実践タイプ)」
■ 研究開発課題名
Cross-Domain Motion GAN を用いた変形性膝関節症向けリハビリテーションAI に関する研究
■ 研究開発体制
研究開発代表者:東京医科歯科大学 統合イノベーション機構 オープンイノベーションセンター
医療デザイン部門 教授 藤田浩二
研究開発分担者:京都大学 医学研究科人間健康科学系専攻 教授 青山朋樹
研究開発分担者:NEC ヘルスケア・ライフサイエンス事業部門 ライフスタイルサポート統括部
ディレクター 中野裕明
■ 研究開発実施予定期間
令和5年度から令和7年度末
概要
膝OAで痛みなどの症状を有する患者は国内で約 800万人と推計されています。重症化すると患者のQOLの低下や手術による医療コストの増大を招くため、保存療法の1つである歩行運動などの有酸素運動により重症化を防ぐことが必要です。また膝OA患者の状態は多岐にわたり、膝の状態も日々変化するため、理学療法士によるリハビリを頻繁に実施することが理想的です。しかし実際は医療費や人的リソースの問題から、パンフレットを渡す等の指導にとどまっているケースが少なくありません。そのため、自己判断による歩き過ぎや歩行不足などが生じ、かえって重症化してしまう例も報告されています。
このような課題に対し、本研究にて開発するリハビリAIシステムでは、日常生活での患者の歩行状態に基づき、リハビリAIが理学療法士と同等レベルの個別化された歩行運動プログラム(歩数、歩き方に関するアドバイスなど)を作成します。作成された歩行運動プログラムはスマートフォンのアプリケーションを通じて患者に提示され、患者は自分の身体状態に応じた最適なリハビリを実施することができます。また本研究後に、開発したリハビリAIシステムを医療機器として製品化していく予定です。
NECは本研究を通じて、膝OAの重症化の予防と患者・医療者の負担軽減を両立することを目指します。
関連URL
■ AMED公募情報 令和5年度 「医療機器等研究成果展開事業(開発実践タイプ)」の採択課題について
(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)
https://www.amed.go.jp/koubo/12/01/1201C_00060.html
■ NEC歩行センシング・ウェルネスソリューション(NEC)
https://jpn.nec.com/wellness/index.html
以上
(注1) クロスドメイン学習を用いた動作生成技術。異なるドメインにおける動作データを用いて、少量しかない対象ドメインのデータから大量の動作データを生成する技術。