富士通/KDDI、シスコ、富士通、電力使用量を約40%削減した通信網の本運用を開始

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メトロネットワークの構成イメージ

IPレイヤーと光伝送レイヤーを融合したマルチベンダーのメトロネットワークを商用化

KDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 CEO:髙橋 誠、以下 KDDI)、シスコシステムズ合同会社(本社:東京都港区、代表執行役員社長: 中川 いち朗、以下 シスコ)、富士通株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長: 時田 隆仁、以下 富士通)は2023年10月1日、IPレイヤーと光伝送レイヤーを融合した地域網内ネットワークであるメトロネットワーク(以下 本メトロネットワーク)の本運用を開始しました。

本メトロネットワークは、WDM(注1)用光信号を直接送受信することが可能なシスコ製ルーター「NCS5500」シリーズと、オープンインターフェースで他社製品と接続が可能な富士通製Open Line System(以下OLS)「1FINITY」シリーズ(注2)を利用することで、IPレイヤーと光伝送レイヤーを融合した構成(注3)を実現しました。IPレイヤーと光伝送レイヤーを融合した構成は、ルーターとWDM 用トランスポンダ(注4)を接続する従来構成と比べ機器数が減っており、電力使用量を約40%削減します。また、従来の構成と比較し、容量拡張が容易なため通信トラフィックの増大に迅速に対応可能です。
KDDIは、2028年度末までにIPレイヤーと光伝送レイヤーを融合したメトロネットワークを全国展開していきます。

メトロネットワークの構成イメージメトロネットワークの構成イメージ

【背景】

現在普及が進む5Gサービスの全国展開に伴い、動画などデータ量が多いサービスの利用者が増加し、通信量が急速に増大しています。

5Gの普及と通信量の増大によりさらなる電力量の増加が想定され、CO2削減への取り組みが一層重要になっています。KDDIは、2030年度までにKDDI単体の事業活動におけるCO2排出実質ゼロを目指しており、事業活動における消費電力の低減が求められています。

さらに、通信量の増大に対応するためには、設備を迅速に拡張することが喫緊の課題となっています。

【本メトロネットワークの特徴】

本メトロネットワークで採用するIPレイヤーと光伝送レイヤーを融合した構成は、従来構成と比べ低消費電力化、省スペース化、迅速な設備拡張が可能です。KDDIは2021年から一部エリアのメトロネットワークにこの構成を導入しました。このたび安定運用の実績が確認できたため、5G、auひかり、法人VPNなど複数のサービスを収容して本運用を開始します。

1. WDM用トランスポンダを実装する筐体をなくすことで低消費電力化と省スペース化を実現

IPレイヤーと光伝送レイヤーを融合した構成は、従来外付けで設置していたWDM用トランスポンダを実装するための筐体が不要になることで消費電力の削減と機器設置スペースの節約を実現しています。なお、WDM用トランスポンダは小型化され光モジュールとなり、シスコ製ルーターに実装されています。この光モジュール自体も半導体製造プロセスの改良により低消費電力化されています。

従来構成とIPレイヤー・光伝送レイヤー融合構成との違い従来構成とIPレイヤー・光伝送レイヤー融合構成との違い

WDM用トランスポンダの小型化WDM用トランスポンダの小型化

2. オープン化により迅速な設備拡張を実現

メトロネットワークの局間伝送路で採用した富士通製OLS「1FINITY」シリーズはオープンインターフェースに対応しており、他社製品を含むさまざまな機器との接続が可能です。そのため、局間の伝送容量を拡張する際もルーター側のハードウェア増設や設定変更のみで容量の拡張ができます。これにより、将来の通信トラフィックの増大に応じて迅速な対応が可能となります。

ルーターインタフェースの伝送容量拡張時の違い(例:100Gから200Gへの拡張)ルーターインタフェースの伝送容量拡張時の違い(例:100Gから200Gへの拡張)

KDDIは、低消費電力で大容量化を実現できるオールフォトニックネットワーク(注5)の構築を推進しています。IPレイヤーと光伝送レイヤーの融合はオールフォトニックネットワークへ向けた最初の取り組みとなります。今後も電力消費量削減に寄与するアーキテクチャの導入とネットワークのオープン化により、サステナブルなネットワークを実現しCO2排出量削減に貢献していきます。

シスコは、Beyond 5G時代を見据え、すべての人にインクルーシブで持続的な社会を実現するために、ネットワークとデバイスの運用の簡素化や自動化といったネットワークの高度化に向けた技術拡充を図り、CO2排出量実質ゼロの実現などサステナブルな社会の実現にむけて、お客様により良い価値と体験を創出するサービス提供に今後も取り組んでまいります。

富士通は、5Gおよび6Gテクノロジーから光バックボーンネットワークまで、レジリエントでヒューマンセントリックな未来のネットワークづくりを推進しており、ネットワークの低消費電力化を実現する製品を広く市場に展開することで、通信事業者のカーボンニュートラル化を支援し、持続可能な社会の実現に貢献します。

【商標について】

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

【注釈】

注1

WDM:
1本の光ファイバに波長の異なる複数の光信号を多重して伝送する技術。

注2

1FINITYシリーズ:
富士通株式会社製光伝送システム。WDM機能に加え、ブレードによる機能の提供により最新の ネットワーク技術を迅速に適用できるほか、オープンインターフェースをもち他社製品との接続も可能。

注3

IPレイヤーと光伝送レイヤーを融合した構成:
ルーターから直接WDM用光信号を送信し、OLSやWDMによって伝送する構成を指す。IP over DWDM、IP Opticalと呼ばれていたが、昨今ではRON (Routed Optical Networking) という名称で呼ばれている。

注4

WDM 用トランスポンダ:
Transmitter(送信機)とresponder(応答機)からの合成語で、Ethernet信号とWDM用光信号の相互変換などを行う。

注5

オールフォトニックネットワーク:
信号の光・電気変換を行わず、光信号のまま伝送することで超高速・低コスト・低消費電力を実現するネットワーク。

富士通株式会社

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