(*1)マルチステージの人生を生きるために重視されている「無形資産」のこと。無形資産として代表的なものは、スキル、知識、友人、家族、肉体的・精神的健康、ネットワークなどが上げられる
(*2)副業はメインになる本業が他にあることが前提で、サブとして収入を目的に行う仕事のことを指し、複業は複数の仕事を掛け持ちしながらメイン・サブという序列をあえてつけず「どれも本業」という考え方を指す
(*3)キャリアを形成させる3つの資産項目(生産性資産・活力資産・変身資産)を『プロテア』では独自に要素分解し、各資産の蓄積状況を可視化している。詳細は参考資料を参照
■調査サマリ ・大企業のキャリア資産が高いのは、働き方改革や人材開発などの効果が影響していると推察する ・情報通信業は全てのキャリア資産が高い傾向にあり、金融業は変身資産が最も高い結果となった ・研究・開発及び営業・販売、経営・役員等 、社外との接点の多い職種はキャリア資産が高い結果となった ・複業実施者のキャリア資産は非実施者と比較し、すべてのキャリア資産項目が約1.2倍高い結果になった |
- 調査結果
①企業規模別
大企業のキャリア資産が高いのは、働き方改革や人材開発などの効果が影響していると推察する
企業規模別の結果をみると、500名以上の企業でキャリア資産が高い傾向にある。大企業で取り組んでいる働き方改革の推進や、人材開発・キャリア開発などの人事施策の効果が、キャリア資産の形成に関係していると推察する。499名以下の企業においては、社員ひとり一人のキャリア資産の傾向を把握し、個別性の高いキャリア形成の支援を行うことが有効である。
②業種別
情報通信業は全てのキャリア資産が高い傾向にあり、金融業は生産性資産が最も高い結果となった
業種別にみると、情報通信業のキャリア資産が高い傾向にある。金融業界は、活力資産< 変身資産< 生産性資産と生産性資産が最も高い結果が出るなど、業種によってキャリアに関する課題が異なることが明らかになった。変身資産に課題を持つ業種は、業界を越えた外部とのつながりなど、変身資産形成を促すプログラムを実施することで全体的なキャリア資産の底上げにつながる。
その他:官公庁・団体、趣味・スポーツ用品、化粧品・家庭用など
③職種別
経営企画、経営、役員、広報・宣伝、研究・開発、人事、営業・販売等、主に社外との接点の多い職種はキャリア資産が高い結果となった
職種別にみると、経営企画、経営、役員、広報・宣伝、研究・開発、人事、営業・販売等、主に社外との接点の多い職種は、キャリア資産が高い傾向にある。社外との接点が少ない職種においては、越境して学ぶ機会や複業など、社外と接点を持つ機会を創出することで、キャリア資産の向上につながる。
④複業との関係性(複業実施有無)
複業実施者のキャリア資産は非実施者と比較して、すべての項目において約1.2倍高い結果になった
複業経験が、生産性資産、活力資産、変身資産のそれぞれの資産を増加させる機会になっていることがわかった。複業は新たなビジネススキルの獲得や、キャリアにおけるネットワークを構築することができるため、活力資産や変身資産の増加につながっていると推測される。
『プロテア』によって社員のキャリア資産を把握し、課題に応じたキャリア形成プログラムの設計・実施等を支援することでキャリア資産を高め、企業の成長や変革を促進します。
■全国ビジネスパーソンのキャリア資産調査概要
調査期間:2021年3月5日(金)~3月8日(月)
調査方法:インターネット定量調査
調査対象:現在正規雇用で就業している会社員1,300名(男女20~69歳・男女)
1~499名:中小企業/500~999名:中堅企業/1,000~4,999名:大手企業/5,000名~:超大手企業
※ウエイトバック集計により小数点以下が発生しています。小数点以下の切り上げ、切り下げにより回答人数と各回答数の合計が異なる箇所があります。
※本リリースの調査結果をご利用いただく際は、【パーソルプロセス&テクノロジー 「プロテア」調べ】とご明記ください。
■調査結果に対する専門家の考察も含めた詳細はこちらを参照ください
https://www.persol-pt.co.jp/protea/article15.html
- 専門家のコメント
【法政大学教授 一般社団法人 プロティアン・キャリア協会代表理事 田中研之輔氏】
~キャリア開発型の戦略人事の鍵を握るのは、キャリア資産の把握・分析と、キャリア資産を増加させるCX施策~
今、企業現場に欠かせないのが、DXとCX(=キャリアトランスフォーメーション)です。最新テクノロジーの導入と浸透によるDXによって、企業は変化の激しい時代の活路を見出すきっかけを手に入れようとしています。もしDXが進展していないのであれば、社員のCXが進んでいないからです。CX推進には、従来型の組織内キャリアから自律型キャリアへのワークシフトが欠かせません。しかし人事担当者から聞かれるのは、「実際に、いかなる施策が有効なのか」ということです。今回の調査を通じて、企業規模、業種、職種の比較からも、業界特性や事業特性が、キャリア資産形成に強く反映されていることが明らかになりました。キャリア資産とは、キャリア形成の状態であり、項目別でキャリア資産形成が必要であると認識できれば、具体的な施策に取り組むことができます。
特に興味深いのは複業経験が与える効果です。今回の調査を通じて、複業がキャリア資産を増加させることが明らかになり、これまで「複業はキャリア形成において良いものだ」と感覚的に捉えられていたことが裏付けられる結果となりました。今後の戦略人事の具体的な取り組みとして、キャリア開発をパッケージ化し、導入する形式的なプログラムではなく、キャリア資産の形成状態を把握した上で、それぞれの状態にあわせた実戦的なキャリア開発に取り組んでいくことが重要であると言えます。
田中 研之輔氏 プロフィール
法政大学 キャリアデザイン学部 教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事/株式会社キャリアナレッジ 代表
一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員。2008年に帰国し、法政大学キャリアデザイン学部教授。大学と企業をつなぐ連携プロジェクトを数多く手がける。企業の取締役、社外顧問を23社歴任。著書に「プロティアン―70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術」(日経BP社)、「ビジトレ―ミドルシニアのキャリア開発」(金子書房)など
【パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 『プロテア』サービス責任者 成瀬岳人】
企業のキャリア開発施策は、社員の「自律的なキャリア開発」に移行しつつあります。従来は、階層別キャリア研修などが主流でしたが、今後は社員の自律的かつ戦略的なキャリア開発支援が求められます。また、どのようなキャリア開発支援が、具体的にどのような成長につながっているのか、を把握していく術が必要になります。
社員の人的資本のポテンシャルを客観的に把握し、可視化する『プロテア』は、社員のキャリア資産ごとの課題を客観的に把握することで、取り組むべきキャリア開発支援と、その効果を明らかにします。社員は、企業から提供される支援施策を活用し、自らキャリア開発に取り組んでいくことになります。この企業と個人のキャリア資産を通じた新たな関係性が、結果的にエンゲージメントを高め、組織としての生産性向上や持続的成長につながっていきます。私たちは、『プロテア』を通じて、人的資本を最大化させる企業の取り組みをさらに洞察し、よりキャリア自律した個人が活躍できる社会の実現に貢献して参ります。
成瀬 岳人 プロフィール
業務コンサルタントとして複数プロジェクトに従事した後、ワークスタイル・コンサルティングサービスを立ち上げ、複数社の労働時間改善やテレワーク導入を支援。また、国や自治体のテレワーク普及促進等の公共事業の企画・運営責任を担う。2020年4月より、新規事業開発部門の責任者に着任し、企業向けの複業促進サービス『プロテア』およびデジタル人材育成サービス『Work Switch +Digital』の立ち上げを指揮。複業で総務省より委嘱を受けてテレワークマネージャー、プロティアン・キャリア協会認定ファシリテーターとしても活動開始。著書に『組織力を高める テレワーク時代の新マネジメント』、『成果がぐんぐん上がる 自律的に働くためのリモートコミュニケーション術』(日経BP)
■参考
<プロテアにおけるキャリア資産について>
キャリア自律支援サービス『プロテア』では、社員の自律的なキャリア形成を図るため、法政大学キャリアデザイン学部教授 田中研之輔氏と共同で、キャリア資産における3つの資産項目を独自に要素分解し、各資産の蓄積状況を可視化できるようにしました。
<プロテアによるキャリア資産の構成要素>
<キャリア資産レポートイメージ>
※画面は開発中のものです。
- キャリア形成支援サービス プロテアについて
https://www.persol-pt.co.jp/protea/
パーソルP&Tが提供する『プロテア』は、本業および複業等による社員の知識や能力などのキャリア資産をスコア化することで、キャリアにおける課題を可視化します。可視化されたキャリア資産の傾向を元に、メンタリングや越境体験などの機会提供によって、社員の主体的なキャリア形成を支援します。