‐業務シフトや分担によるコードブルー減少で患者ケア向上と働き方改革を両立-
慶應義塾大学病院にて導入されるコマンドセンター:
慶應義塾大学病院[ii]は、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の第2期に含まれる「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」プロジェクトにおいてAIモデルホスピタルの1つに選出され、同大学病院における実証経験が今後複数の医療機関にて展開・運用される予定であることからも、院内の医療情報システムの充実に注力してきました。
このような背景の下、この度、同大学病院で導入されるコマンドセンターは、病床管理(ベッドコントロール)機能を起点として、院内の全診療科および各中央部門および手術センターなど、患者フローに関連する横断的な組織運営を統括する司令塔の役割をデータシステム・意思決定フローの観点から支援します。電子カルテ情報だけでなく、既に構築されているデータウェアハウス(DWH)内に格納されるデータも一元的にリアルタイムに分析を行い、即時性のある意思決定と行動計画を提供することで、医療従事者の作業分担や業務シフトを推進します。
また、大学病院初の取組みとして、ICU部門(集中治療センター)が中心となり、院内に点在する患者さんの容体変化をリアルタイムに一元的に監視しながら急変時対応システム(Rapid Response System)と連携して、容体変化時には即時性ある密度の高い治療を行うことで重症化を防ぎコードブルー(患者の容体急変などの緊急事態が発生した場合に用いられる緊急招集コール)の減少を目指します。
一方、蓄積されるリアルタイムの膨大なデータは、新たに導入される自動機械学習(Auto Machine Leaning)機能を最大限に活用することで、属人的な判断に過度に影響されない医療業務上の意思決定平準化につながるような示唆をリアルタイムに24時間365日提供することができます。これにより、緊急入院や夜間など、人手が不足する時間帯でもベテランと同様の判断をAIで支援することで、若手医療従事者の不安解消と共に、全員が患者ケアに最大限の力を発揮できるように病院全体で発達指向型組織改革に活用していきます。
GEヘルスケア・ジャパン代表取締役社長兼CEOを務める多田荘一郎は次のように述べています。「慶應義塾大学病院様とは画像診断分野のオープンプラットフォーム構築をはじめ、機器の稼働効率・患者フローの改善を目指すプロジェクトなど様々な方面で連携させていただいており、この度、コマンドセンターの導入に携われることを大変嬉しく思っております。VUCAと呼ばれる現代社会は医療も含めて複雑性が増す一方で予見性が低く、それ故に、スピード感を持って、リアルタイムに変化を捉え改善を続けていくことが大切になってきています。GEヘルスケアでは、一人ひとりにあった質の高い医療を効率よく提供するプレシジョン・ヘルスの実現を掲げていますが、この度のコマンドセンターによって、より最適化された質の高い医療オペレーションの実現に貢献できるよう努めてまいります。」
[i] コマンドセンターは、電子カルテをはじめとする各種院内情報システムに紐づくデータを、リアルタイムで分析・可視化を行うことにより、患者さんへのケアに必要なリソースを効率的に配分し、必要なケアをタイムリーに提供するための意思決定を促す中央集中管制塔としての役割を果たすシステムです。米国のジョンズ・ホプキンス大学病院で世界初の試みとして2016年に導入されて以来、2021年3月現在までに米国をはじめ世界300を超える拠点で導入が進んでいます。日本でも淡海医療センター(旧称・草津総合病院)にて2021年4月より稼働が開始しました。 |
[ii] 病床数946床 職員数2,700人、全国から年間30万人の延べ入院患者の受入実績を誇る国内有数の大学病院です。 |
GEヘルスケア・ジャパンについて
GEヘルスケア・ジャパン株式会社は、GEヘルスケアの中核拠点の1つとして1982年に創設されました。予防から診断、治療、経過観察・予後管理までをカバーする「プレシジョン・ヘルス」の実現を目指し、インテリジェント機器やデータ分析、ソフトウェア、サービス等を提供しています。国内に研究・開発、製造から販売、サービス部門までを持ち、日本のお客様のニーズにお応えしつつ、日本が直面する医療課題の解決に取り組んでいます。日本における社員数は約1,700名、本社および約60カ所の事業拠点があります。
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