整備士が撮影した2年分の作業映像を活用して航空機整備のDXを推進
■ウェアラブルカメラを活用した整備現場のDX
【背景と概要】
航空機の整備は、航空機を安全に運航させるために欠かすことのできない重要な業務であり、空の安全と航空産業を支えています。特に「整備品質の維持と向上」、「工具類の管理」は、業務上の重要な要素であるため、MRO Japanとして正面から取り組み、常に改善を志向しております。
この度MRO Japanは、整備士がウェアラブルカメラで撮影した作業映像を、5G通信ネットワークを通じてアップロードし、クラウドシステムで2年間分保存、その映像を活用することで航空機の整備品質を向上する業務体制を、ブロードバンドタワー、ヘリックス、テクノホライゾン、沖縄セルラーの協力を得て実現いたしました。
〇整備品質の向上
航空機の整備品質は、航空機の安全性や信頼性に直接影響する非常に重要な要素です。日々の整備作業では、作業不具合を発生させないよう手順書と照合しながら確実に作業を行っていますが、万一の作業不具合発生時には、当該作業時の記録映像を参照可能とすることで、原因の早期特定と再発防止策の策定、対応が可能となりました。
〇工具管理性の向上
整備士は毎日始業終業時に工具の員数管理を作業者間で相互確認を行うと共に作業の切り替え時にも必ず員数点検をし、作業中は様々な工夫を凝らし工具の紛失防止に努めています。万一工具を紛失したことが分かった場合は、全ての整備作業を止め、整備士全員で工具の探索を行う必要がありますが、作業時の記録映像を活用することで、紛失した工具を早期に発見することが可能になりました。
【整備作業現場での利用状況】
【各社の協力内容について】
MRO Japanが航空機整備の現場にウェアラブルカメラを導入するにあたっては、協力4社(ブロードバンドタワー、ヘリックス、テクノホライゾン、沖縄セルラー)が、それぞれ強みを持ち寄りました。整備作業映像を録画し、2年間分アーカイブするクラウドサービスを提供したブロードバンドタワーとヘリックス、ウェアラブルカメラのデバイスを提供したテクノホライゾン、整備工場内に新世代の通信規格「5G」環境を構築し、通信サービスを提供する沖縄セルラー、各社の技術とノウハウが、今回の航空機整備のDXを実現するシステムにて融合・結実しています。
・ブロードバンドタワー・ヘリックス
ウェアラブルカメラで撮影した映像を①ライブ配信、②録画、③アーカイブするクラウドサービス(サービス名:「フルスタックカメラ®」)を開発し、MRO Japanに提供しております。
フルスタックカメラ®のシステムは、Microsoft Azure上に構築されており、Microsoft Azureは、ISO27001、ISO27018、SOC1、SOC2、SOC3、FedRAMP、HITRUST、MTCS、IRAP、ENS等のセキュリティコントロールに準拠し、世界最高峰の信頼性、セキュリティを備えています。国内に複数のデータセンターを保有し、クラウドセキュリティにおいてSTAR認証Goldレベルを取得しているブロードバンドタワーと提携して、ヘリックスがフルスタックカメラ®を運用しております。
・テクノホライゾン
ウェアラブルカメラのデバイス(機種名:「EW-1」)をMRO Japanに提供しております。
EW-1には、クラウド録画モード、IPカメラモード、USBカメラモード及び音声双方向通信モード(クラウドモード)が用意されており、用途に合わせてこれらのモードを選択することができます。低照度かつ広角レンズを搭載し、様々なシーンで活用できます。バッテリーは外付けで、ヘッドセットや胸ポケットでも重さの負担を軽減できる仕様となっております。
・沖縄セルラー
ウェアラブルカメラで撮影した映像をクラウドにアップロードするため、MRO Japanの整備工場内に5Gの通信環境を構築いたしました。あわせて通信端末として、iPhone 13(530台)を提供しております。
整備工場内の5G通信環境につきましては、iPhone端末190台が同時に通信を行う場合でも、上りの通信速度が1Mbps以上になることを目指しました。この目標レベルの通信環境を実現するために、沖縄セルラー本社ビルにてiPhone端末75台を用いた一斉接続試験を実施するなど、実際の利用環境を想定した品質調査及び実機での利用検証を行っております。
今後もデータトラフィックの状況に応じて追加の5G設備等を活用し、整備工場内のさらなる通信速度の高速化を図ります。
【今後の展望】
MRO Japanは、最先端技術の導入により取得した整備作業の映像データを活用し、『作業安全・作業品質・生産性・技術力』の質を向上させることで航空機整備のさらなる向上を図ります。また、過去の整備作業映像を用いた教育訓練資料(技術の伝承)や、ライブ配信される遠隔地作業での作業支援(整備現場と本部との連携)、労働安全衛生活動のKY活動や労働災害の対策にも活用してまいります。ブロードバンドタワー、ヘリックス、テクノホライゾン、沖縄セルラーの協力4社は、MRO Japanの活動をこれからも支援し、MRO Japanと共に、航空機整備のデジタルトランスフォーメーション(DX)を先導してまいります。
以 上
■MRO Japan について
会社名:MRO Japan 株式会社
所在地:〒901-0148 沖縄県那覇市字大嶺260番地
代表者:代表取締役社長 高橋 隆司
設 立:2015年(平成27年)6月1日
URL :https://www.mrojpn.co.jp/
MRO Japanは、沖縄に拠点を置く、日本で唯一の航空機整備会社です。沖縄は、各航空会社の就航基地拠点として位置付けられており、整備のための空輸費の抑制が図れる等、海外MROに対抗できる基盤を有する活気に溢れるロケーションです。沖縄の利を活かし、高品質かつコスト競争力のあるMROサービスの提供をとおして、航空産業ならびに地域の発展に努めております。
■ブロードバンドタワーについて
会社名:株式会社ブロードバンドタワー
所在地:〒100-0011 東京都千代田区内幸町二丁目1番6号 日比谷パークフロント
代表者:代表取締役会長兼社長CEO 藤原 洋
設 立:2000年(平成12年)2月9日
URL :https://www.bbtower.co.jp/
ブロードバンドタワーは、高度な運用技術と信頼性の高いハウジングサービス、インターネット接続サービス、およびクラウドサービスを提供しております。アクセスの良い都心にインターネットデータセンターをはじめとしたネットワークインフラストラクチャー資産を有し、インターネットサービス提供企業をはじめとした、多数の企業から高い信頼を得ております。またDell PowerScale(Isilon)等のビッグデータ対応ソリューションを提供しております。
■ヘリックスについて
会社名:株式会社ヘリックス
所在地:〒100-0011 東京都千代田区内幸町二丁目1番6号 ブロードバンドタワー内
代表者:代表取締役 李 秀元
設 立:2018年(平成30年)7月24日
URL :https://www.helixinc.co.jp/
ヘリックスは、全てのカメラと最新鋭のAIをクラウド上でシームレスに繋ぎ、映像データの利活用を促進するフルスタックカメラ®を提供しております。フルスタックカメラ®は、専用のウェアラブルカメラだけではなく、お手持ちのパソコンやスマートフォンに内蔵されているカメラ等にも幅広く対応しており、クラウド上に用意された録画、保管、AI解析等の機能を、ユーザーが選んで利用することができます。このようなサービスの特徴から、大型の整備工場やセキュリティ要件の厳しいデータセンター、斬新なオフィス、小店舗等、様々な場所・用途での導入実績があります。
■テクノホライゾンについて
会社名:テクノホライゾン株式会社
所在地:〒457-0071 愛知県名古屋市南区千竈通二丁目13番地1
代表者:代表取締役社長 兼 CEO 野村 拡伸
設 立:2010年(平成22年)4月1日
URL :https://www.technohorizon.co.jp/
テクノホライゾングループは、映像&IT及びロボティクス事業を核にさまざまな製品とサービスを提供し、グローバルな「人と社会」に貢献することを事業のミッションといたしております。当グループが対象とする市場分野は、教育、安全・生活、医療、FAなど多様な分野にわたりますが、「技術を活かすこと」 「皆さまのお役に立つこと」「豊かな社会を実現すること」に関しては一貫してその姿勢を貫いております。そして今後さらに、「輝く地平線(ホライゾン)」をめざして着実に前進する所存でございます。
■沖縄セルラーについて
会社名:沖縄セルラー電話株式会社
所在地:〒900-8540 沖縄県那覇市松山1丁目2番1号
代表者:代表取締役社長 菅 隆志
設 立:1991年(平成3年)6月1日
URL :https://okinawa-cellular.jp/
沖縄セルラーは、沖縄の総合通信事業者として、移動通信システム「5G」の整備や離島を含む県内全域の通信インフラの強化・拡充に取り組み、災害に強く信頼性の高い通信サービスの提供に努めております。「事業を通して、沖縄経済の発展に貢献すること」を企業理念とし、沖縄の総合通信事業者として、強靭で高品質な通信の維持に努めると同時に、さまざまな地元企業様、パートナー企業様とともに、成長してまいります。
※記載されている会社名および商品名は、それぞれ各社の商標および登録商標であります。