NECは、28GHz帯を活用したMassive-MIMO(1)(mMIMO)の性能を評価するため、検証を実施しました。
mMIMOモバイルアクセス基地局による多ユーザ同時接続は、時分割・周波数分割に加え、空間多重にて更に高いセル容量を達成する技術です。スタジアムの観客席や都市部の人混みのように、1平方メートルに4から8ユーザというユーザ密度の非常に高い環境において、mMIMOが期待した性能を発揮し大容量伝送を実現しているのかを検証しました。
この結果、分散MIMO方式(2)が、一般的な集中配置MIMO方式(3)に比べて良好なデータ伝送を維持でき、超高密度な環境においては、分散MIMO方式が安定的な大容量伝送には有効であることを実証しました。
本実証のために新しく開発した指標(詳細は別紙参照)を、28GHz帯の試作装置(4)を用いて、分散MIMO・集中配置MIMOの両方式において、理論・数値計算・実験を通じてユーザの信号対雑音比(SNR)を定量比較検討しました。Massive-MIMOにおける空間多重のSNRは、同一セルにおける他のユーザへ向けたビームからの漏洩電力の量に影響されます。分散MIMO方式はそのビームの鋭さと高い直交性により、一般的な集中配置MIMO方式にくらべてユーザ密度に依存しないSNRを維持することを確認しました。なお、本研究成果の詳細は、6月の米国・カリフォルニア州・サンディエゴにて開催された学会、マイクロ波国際会議2023(International Microwave Symposium 2023)にて論文発表を行いました。
NECは、5Gの高度化や6Gの開発を通じて、更なる高速・大容量・コスト効率化を目指した技術開発を継続していきます。
別紙
新しく開発した指標について
mMIMOは、時分割多重・周波数分割多重に加えて、空間多重により同時接続数と高いセル容量を達成する技術です。そのために、セル内に同時発射する電波にゼロフォーシング(Zero Forcing)法等による重みづけを行い、目的のユーザ位置における他の全てのユーザ向けの電波を無効化(ヌル化)することで、各々のユーザにおける必要なSNRを達成します。
NECの本研究では、この無効化による空間分別能力を定量化したものです。従来の集中配置MIMO方式においては、電波発射方向角の制限により、一定のユーザ密度以上での各々のユーザのSNRが密集度合いに反比例して低下する課題があることを明らかにました。
NECの分散MIMO方式においては、そのビームの鋭さと高い直交性によりユーザ密度に依存せず同時接続に必要なSNRを達成できることを示しました。
図. 無効化(ヌル化)ビームの一例(ユーザ3に向けたビームは他ユーザ位置でヌル化)
(1) Massive-MIMO
A Multiple Input Multiple Output (MIMO) technique that enables simultaneous multipul radio communication connections using a massive number of transceivers.
(2) Distributed-MIMO
An approach of Massive-MIMO where a large number of antennas are distributed rather than being placed in a single array.
(3) Collocated-MIMO
An conventional approach of Massive-MIMO where the antenna element and transceivers are arrenged in a location with usually the harf wave length intervals.
(4) NEC、高速大容量通信を実現する5G向けに小型軽量の超多素子アンテナを開発
https://jpn.nec.com/press/201702/20170227_01.html
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NEC テレコムサービス企画統括部
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