Opensignal/Opensignal、世界の5Gモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスを分析

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日本における5Gの限定的なインパクトと世界の動向

Opensignal(本社:ロンドン)は、5Gによる全世界のモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスの影響をまとめ、その内容を発表しました。初の商用5Gは2019年4月に米国と韓国で開通し、その後、多くの国がその流れに追随しています。約3年が経過し、その間、5Gがモバイル・エクスペリエンスに与えた影響を分析してきました。Opensignalは、5Gサービスの有無を含む世界100都市の状況を分析し、5Gがこれまでにもたらした影響を把握しました。

○   分析概要
•     5G時代の最初の3年間で、モバイル・スピードはどう変化したか
•     5Gは1日のピーク時の混雑を緩和したか
•     早期に5Gを導入した市場は、5Gを導入していない市場を上回る実績を上げているのか、あるいは後発5G導入市場の方が優れているのか
•     マルチプレイヤー・モバイル・ゲームは、5Gの恩恵をどの程度受けているか

最初に5Gが導入されたのは韓国と米国でしたが、その後、英国、ドイツ、スイス、オーストラリアなどの市場にも急速に広がりました。しかし、5Gがモバイル・エクスペリエンス全体に与える影響を理解するには時間が必要です。理由としては、5Gはこれまでにない技術であることと、全体水準の影響を測るための十分なユーザー数が存在していないためです。

○   主な分析結果

5G導入により全体的な平均ダウンロード・スピードがほぼすべての場所で向上
過去3年間、4Gのみの市場と5G市場の両方で、ダウンロード・スピード・エクスペリエンスが上昇していました。世界100都市のうち95都市で、2019年の第1四半期 (5G以前) から2021年の第4四半期で平均ダウンロード・スピードが上昇しました。

5Gによって世界ランキングに変化
2020年初頭は10位だった韓国は現在、世界におけるゲーム・エクスペリエンスの頂点に立っています。5Gが遅れて登場した市場 (例: マレーシア、ニュージーランド、チェコ共和国) や、5G専用の新しい無線帯域が不足している市場 (例: シンガポール) では、ダウンロード・スピード・ランキングが低下しています。一方で5Gの新しい周波数帯が増加しています。特にフィンランド、サウジアラビア、スイス、英国、アラブ首長国連邦で顕著です。

全国平均スピードが初めて100 Mbpsの壁を突破
韓国における2021年末の平均ダウンロード・スピードは129.7 Mbpsでした。5G以前の2019年初頭の52.4 Mbpsから上昇しています。同様に5G市場となると、ドイツでは速度が22.6 Mbpsから48.7 Mbpsと倍増し、フィリピン (7 Mbpsから15.1 Mbps)、サウジアラビア (13.6 Mbpsから31.1 Mbps)、タイ (5.7 Mbpsから17.4 Mbps) といずれもスピードが向上しています。

2021年のゲーム・エクスペリエンスにおいて世界のトップ20市場すべてが5Gを開始
1位は韓国 (100ポイント満点中88.5ポイント) 、次にオランダ (85.5ポイント) が続きます。両市場とも素晴らしい (85以上) と評価されています。しかし、4G市場のスコアの変化率を比較すると、5G市場のゲーム・エクスペリエンスと同じように急上昇しているため、5Gがこれらの高いランキングを説明しているという証拠はあまりありません。

5G市場の98%において1日の間でスピードが最も低下する時間帯のスピードが改善
新しい5G無線周波数帯と、セル・サイトからのバックホールの改善により、通信事業者は混雑を緩和できました。1日の中で最もスピードが低下する時間帯 (通常午後8時または午後9時) では、モバイル・データ使用量は増加していますが、平均ダウンロード・スピードが向上しています。

最高の5Gエクスペリエンスはこれから
現在の5Gネットワークのほとんどがリリース 15を使用していますが、新たな標準が登場しています。すでに5Gを提供している市場であっても、より多くの無線周波数帯が登場し、速度が大幅に向上するはずです。最新の5Gテクノロジー (例: リリース17) により、応答性が上がります。ネットワークは同時により多くのデバイスをサポートし、信頼性が高まるでしょう。

○   日本の主な特徴

•     2021年第4四半期に、モバイルユーザーの平均ダウンロード・スピードにおいて日本は48.7 Mbpsで世界100か国中第10位にランクされました。5G登場以前の2019年第1四半期と比較するとスピードが15.7 Mbps向上しましたが、順位は変わりません。
•     日本のユーザーのエクスペリエンスは一貫しています。2021年の通信量がピークとなりスピードが最も低下する時間帯の平均ダウンロード・スピードは40.2 Mbpsとなっており、2021年第4四半期の平均全体速度である48.7 Mbpsとほぼ同数でした。
•     マルチプレイヤー・モバイル・ゲームでは、2021年第4四半期に100ポイント満点中78.4ポイントで世界第7位となりました。

良好な5Gエクスペリエンスがまだ実現していない理由
5Gテクノロジーがユーザーのモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスに与える完全な影響はまだ見られません。例えば、既に5Gを提供している都市であっても、より多くの5G周波数帯が利用できるようになれば、速度は大幅に向上すると予想されます。それは、最新の5Gテクノロジーにより、応答性が向上するためです。ネットワークは同時に多くのデバイスをサポートするため、信頼性が高まるでしょう。

ゲーム・エクスペリエンス全体では5Gの影響をほとんど受けていませんが、モバイル・ゲームのモニタリングは今後の原石となります。なぜ5Gが完全に普及していないのかという理由は、これまでのところ、ほぼすべての5Gサービスが5G標準の初期バージョン (主にリリース15) を使用しているためです。

5Gのバージョンはすでに複数あり、それらは開発過程ではあるものの完成に近づいているため、近いうちに広範な商用展開が見込まれています。

5Gの進化に伴い、5Gテクノロジーとユーザーのモバイル・エクスペリエンスは (パンデミックが発生していなくても) 今後も変化し続けるため、この継続的な分析は極めて重要です。

Opensignalについて
Opensignalは、独立系モバイル分析会社であり、実際のユーザーエクスペリエンスの測定に基づいて世界のモバイル・ネットワークの実情について理解する為のグローバル・スタンダードとなっています。世界中で1億台以上のデバイスから毎日収集された数十億の測定値を使用して、ワイヤレス業界で最大の規模と頻度で全世界のモバイル・ネットワーク・エクスペリエンスを分析しています。Opensignalは、ネットワークのパフォーマンスをユーザーの視点から直接測定することが、より良いワイヤレス・ネットワークを構築するための鍵であると信じています。 Opensignalのモバイル分析ソリューションは、携帯電話会社、通信規制当局、機器メーカー、アナリストによって業界全体で使用されています。

OpensignalおよびOpensignalのロゴは、Opensignal、Ltdの商標または登録商標です。言及されているサードパーティーの商標は、それぞれの所有者の財産です。

 

 

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