高水準のハイブリッドワークを実現するにためには、IT部門は会議音響設備の知識やスキルを獲得する必要があることが、グローバル調査で示される
報告によれば、調査対象となった6カ国のうち日本は、ハイブリッドワーク環境における会議室向けオーディオ技術、会議用音声機器の導入が最も遅れている国とされています。
日本政府は2023年5月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の法的な位置付けを5類へと引き下げました。それ以降、大半の企業がCI(コーポレート・アイデンティティ)や協業性、モチベーションを向上させるためにオフィスワークの方針を変更し、従業員がオフィスに戻り始めています。しかし多くの日本企業では、ビジネス目標の達成に寄与できるようなオンライン会議環境を会議室に整備するための、オーディオ知識が不足しています。
IDCの調査(※2)によると、日本の組織では、会議室設備のアップグレードや音声機器の調達を専門外のスタッフに担当させることが一般的であることがわかりました。日本の回答者の48%にとって、調達プロセスにおける最大の課題は、最適な製品を選択するために必要な社内の技術的知識が不足していることです。回答者の多くが現在の音声設備に満足していると答えています。しかしその理由は、会議音声技術に関する知見が限定的であるため、そもそもオンライン会議音声の品質に対する期待値が非常に低く、現在の世界水準に大きく満たない音声クオリティで我慢してしまっている可能性を指摘することができます。導入や運用を担う従業員が必要な技術的基盤や知識を有していない場合、対面とリモート参加者が混合するハイブリッド会議で快適なコミュニケーション体験を提供することは困難です。
「ハイブリッド会議において、発言音声は目に見えない影響力を持っています」とシュア・ジャパン インテグレーテッドシステムズ シニアディレクターの大友裕己は述べています。「会議室の発言がうまく聞き取れず、リモート従業員が効果的に意思疎通や協業ができなければ、フラストレーションとなります。そしてそれがストレスとなり本来の業務水準を満たせなくなれば、組織のパフォーマンスも低下するでしょう。日本の組織にとっては、まずは本当に適切な音声設備を選択・構築することでハイブリッド環境でも業務体験が向上し、従業員が本来持つ優れた能力を発揮できるようになります。ハイブリッドワークにおける協業性とモチベーション強化はそこが出発点であると言えます」
会議室の音声機器を選ぶ際、設置のしやすさなどが優先され、音質は見落とされがちです。本調査によれば、日本ではマイクなど会議室の音声機器を選択する際にオーディオ品質を重要な要素と見なす回答者はわずか32%であり、6カ国のうち最も低い割合です(米国93%、英国84%)。日本の機器選定担当者は、他国の同担当者と比較すると、設置の容易さ(38%)など他の要素を重要視しています。
大友は次のように述べています。「組織の勤務方針がハイブリッド型でも全員出社でも、結局会議メンバーは外部の方々など様々な場所から参加することになるのが現実です。適切なオーディオ技術と設備を採用することで、対面の参加者にもリモートの参加者にも等しくプロフェッショナルな音質を提供できれば、会議全体の質を向上させることができるのです」
日本の回答者は他の調査対象国と比較すると、低品質な会議音声体験が実際に従業員に与える影響については、極めて認識が不十分であることが示されています。例えば、質の悪い音声体験がフラストレーションにつながると考えている人はわずか24%(米国66%、英国59%)、質の悪い音声体験が疲労度を高めると考えている人も36%でした(米国62%、英国61%)。また生産性についても同様の結果が見られます。会議音声品質が悪いと生産性の低下につながると考えている日本の組織は、33%しかありませんでした(米国69%、英国60%)。
日本企業は欧米企業から学び、業務用品質のオーディオ技術に投資することが課題として浮き彫りになっています。高い音声品質を実現する要件を満たすには、そうした業務用品質の音声機器を日々実際に使用して、その利点を十分に理解している担当者が選定しなければなりません。
「ハイブリッドワークが登場したとき、企業は迅速な決断を迫られました。しかし、その決断は従業員が馴染みやすいものであったり、ビジネス全体の成功につながるものとは言えませんでした。とはいえ今、すでにハイブリッドワーク環境は定着しています」と、IDCでFuture Workspaces and Imaging担当バイスプレジデントを務めるミック・ヘイズ(Mick Heys)氏は述べています。「当社のグローバル調査では、ほぼ半数の組織が会議音声品質の低さが意思決定能力の低下につながると考えていることがわかりました。会議に費やす時間、中でもオンライン会議に費やす時間を考えてみてください。一つひとつの会議の音声を改善することができれば、継続的な価値をもたらすことができるのです」
本研究では、会議音声品質の改善は単に技術的な問題だけではなく、IT担当者が取り組むべき人間中心の課題であると強調しています。会議室のオーディオ技術を選定するITプロフェッショナルやその他の担当者を育成することは、ハイブリッド会議を成功させるための第一歩です。高品質なオーディオソリューションへの投資は、繰り返し発生する職場へのフラストレーションを解消し、日本企業をハイブリッドワークという新しい時代に適応させるだけでなく、ビジネスを成功に導くことが分かってきました。
IDCの詳細なグローバル調査では、会議音響に投資する企業は、すべての会議を通じてその顕著な効果を得られることになると予測しています。以下は会議音響設備へ投資している企業(母集団は上記6か国すべて含む)が、生産性や従業員定着率と会議オーディオテクノロジーの関係について回答した結果です。
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チームのモチベーション:回答者の94%が、対面式会議の自然な流れを再現できるテクノロジーへの投資が、チームのモチベーション向上に貢献すると考えています。従業員は、チームのモチベーションについて、ハイブリッド環境では低い/普通(94%)、対面では良い/優れている(81%)と答えています。
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生産性:回答者の90%が、より生産的で有意義な仕事を実現するには、会議オーディオが会議の公平性を実現し、また向上させると答えています。
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従業員の定着率:従業員の90%が、会議オーディオへの投資は会社の将来に対する投資だと考えています。
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組織のイメージ:回答者の 90%が、会議オーディオへの投資は、従業員や顧客が組織に対して抱く感情や印象へ影響を与えると述べています
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心の健康と幸福:回答者の73%が、会議音声が改善されることで、従業員は評価され、感謝され、十分に能力を発揮できていると感じやすくなると回答しています。
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機動力の向上と迅速な意思決定:回答者の49%が、会議オーディオへの投資が意思決定の改善に貢献すると答えている
【資料のご提供】
日本およびグローバルの調査結果や考察など、他詳細は『IDC InfoBrief』(IDC制作・Shure提供)をご覧ください。ダウンロードはこちらです。
URL: https://effortless.shure.com/ja/content-hub/posts/idc-infobrief/
※1 Shure提供によるIDC InfoBrief:ハイブリッド会議テクノロジーの盲点:会議オーディオ品質向上への投資が、あなたの会社の未来を変える, doc #EUR150735523, July 2023
※2 Shure提供によるIDC InfoBrief:日本 Country Chapter, doc #EUR151123323, July 2023
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